ITを使っていない企業はない。プログラミングは、もはや避けては通れない時代。

(The English version is available.)

東福まりこさんは、Zuittが提供するコーディング・ブートキャンプ(プログラミング教室)「ディベロッパー・キャリア・プログラム」のメインコースを修了されたおひとり。習得に何百時間を使ってまで何を学びたかったのか?など、受講を考えている人たちに向けて、良かったところ、悪かったところをお聞きしました。

エンジニアのプロを目指す人はもちろん、若い人にもスキルのひとつとしてぜひ受講してほしいと東福さんは言います。

(インタビュー・大橋博之)

Mariko Tofuku

東福(とうふく)まりこ。

転職カウンセラーとして、会社員へのキャリア相談を行っている。

ドイツ系外資企業でコントローラー(財務諸表の分析とプロジェクト計算)かつアカウンタント(経理)として10年以上勤務。ドイツに1年の赴任経験がある。

また、会社員時代に本社子会社のフィリピン人同僚十数名と働き、レアジョブ英会話で7年フィリピン人の先生に英語を習っていた。フィリピン人の親友がいる。

人生を変えるのは若い方がいい。

──東福さんは転職カウンセラーとしてご活躍なのだとか。

キャリア相談を希望される方にいろいろとアドバイスをさせていただいています。

相談にいらっしゃる方は、転職を考えている方もいれば、会社が嫌だ、先々が心配だなど、さまざまな悩みを抱えていらっしゃいます。

私はそんな方々に「簡単でもいいので職務経歴書を書いてください」とお伝えします。要はキャリアの棚卸をしていただくわけです。職務経歴書があると今すぐ転職を考えていなくとも、いざというときに役に立ちます。

相談者の職業は営業・マーケティング・企画やクリエイターの方などさまざまです。皆さん自分のキャリアをとても真面目に考えています。

ただ、そんな真面目な方は自分のダメなところばかり見て、良いところに気づかないんです。私は質問しながら、「このこともアピールポイントになりますよ」とアドバイスし、職務経歴書を書くコツをお教えしています。

──日本人は謙虚なんですよね。

そうなんですよ。当人は当たり前にやってきただけで、凄いことをやっているとは思っていません。それを聞き出し、具体的な実績と数字を交えて掘り起こします。

──どういう方が多いのですか?30代後半から50代の方が多いですね。この仕事を始めた当初は30代前半くらいのかたを想定していたのですが。一般論としてキャリアチェンジは35歳を過ぎると難しくなります。仕事の選択肢が狭まってしまい、アドバイスも限られてしまいます。なので、人生を大きく変えようと思うなら、若い方がベストです。

プログラミングは必須。まず自分が身をもって知る。

──Zuittのプログラムのことは、Twitterで知ったのだとか。

それが本当に偶然なんです。私はフィリピン人が講師のオンライン英会話を受講しているのですが、そのことをツイートしたんです。そうしたらそのオンライン英会話の社長がリツイート(拡散)してくれ、さらに前社長の加藤さんがいいねをしてくれました。加藤さんのタイムラインを見に行ったら、今はZuittという会社の社長をしていて、グローバルでクラスを開始すると告知されていたんです。

私はプログラミングに興味があったので、「これは二度とないチャンスだ。申し込まない理由はない!」と思い、受講することにしました。

Tomohisa Kato’s tweet

──どういう点が良いと思ったのですか?

プログラムはすでに80回以上も開催されているとのことだったので「コンテンツは磨かれている」と思いました。私はフィリピン人に英語を習っていますし、フィリピン人の友達もいます。だからフィリピン人が優秀でとても優しいことは知っています。ですから、インストラクターのレベルも高いだろうという期待もありました。

あと、Zuittの社長が日本人でわたしがずっと英語を学んでいたレアジョブの前社長の加藤さんということも信用できる点でした。知らない海外の会社にお金を振り込むのは不安ですから。

そして、録画ビデオを見るのではなくライブ授業だというところです。わたしの場合、ひとりで毎日4時間勉強するのは無理だけれども、ライブだったら背中を押されてやり遂げられると思ったのです。プログラミングスクールで全部をライブ授業で行っている学校は他には知りません。

──他に不安はなかったのですか?

カリキュラムは英語ですが、私は英語で仕事をして来たので抵抗はありませんでした。

でも、私はネイティブのように話せるわけではありません。英語で仕事をしていても、通訳や翻訳ができるわけではありません。英語が分かるのは自分の専門の経理だけ。メールや会議は大丈夫ですが、英語に付いて行けるかなという不安はありました。それでも「受講したい」という想いの方が勝りました。

──どうしてプログラミングに興味があったのですか?

10年ほど前から「これからの時代に必要なのは英語とプログラミングだ」と言われていました。事実、2020年から小学校でプログラミング教育が必修化になりました。するとどうなるかと言うと、今の小学生が社会に入る10年後からは世界が凄く変わると思うんです。

英語を勉強しても日本にいる限り、使う仕事や会社は限られます。でも、プログラミングはどんな会社でも必須になるはずです。

──これからの時代はプログラミングが一般的になっていると?

そうです。日本の企業に勤めると英語は使う機会があまりありません。でも、ITはどの会社でも使っています。

──キャリア相談でもそのようなことを伝えているのですか?

伝えたいのですが、プログラミングを私自分が知らないので伝えづらいと思っていました。でも、近いうちには若い人に伝えなければいけなくなるという気はしています。今回、受講することにしたのはそのことも理由のひとつです。

──そういう準備があったんですね。

これからの時代は英語とプログラミングが大事です。それは私が考えたことではなく、いろんな方が言っていることです。

ITを使っていない会社はありません。ITも専門の部署に任せていたのが、自分たちでやらなければならない時代が来ると思います。

プログラミングができるということは、効率化につながります。若い人は避けては通れないと思います。

英語で学ぶことのハードルは低かった。

──受講してみていかがでしたか?

プログラムがステップバイステップで、徐々に難しくなっていくところは、私には良かったです。

ステップバイステップですが、スモールステップではありません。3時間30分でもとても早く進みます。

先生は1人ではなく、3人体制。どの先生もレベルはとても高かったです。尊敬できる方ばかりでした。

最初、授業がどう進むのか不安になるものですが、そこは先生がしっかりと引っ張ってくれました。分からないことは先生が具体的に教えてくれる。「ちょっと難しいかな」と思っていたら、先生が「すぐに分かるようになるから心配しなくてもいい」と言ってくれて安心しました。

内容の難易度は想像よりもかなり高かったですが、英語で学ぶことについてのハードルは想像よりも低かったです。

過去、アメリカ人のワークショップに参加したことがありますが、私の英語ではダメでした。

でも、フィリピンの先生の英語はとても上手いです。発音もクリア。ことば・言い回しもわかりやすい。これはネイティブにはできません。バイリンガルだからできるのだと思います。先生は、国際語としての英語を完璧に話されます。また、声がとても聞きやすくて長時間聞いても疲れない。そもそも教室で授業していた先生なので、話すトレーニングをされているからではないでしょうか。

アメリカのサービスを受けるより絶対にいいです。

──改善してほしいとこはありますか?

授業についていくのは大変でした。例えばFacebookにグループがあって、そこで質問できるようにしていただけると嬉しかったです。

私は休みませんでしたが、一度休んでしまうと後れを取り戻すのはかなり大変です。逆に休んではいけないというプレッシャーがあるので、受講期間はコミットする、という強い意思を持てたのは良かったかもしれません。

──他にはいかがでしたか?

ひとつ、私が「すごい!」と感動してかつ、戦慄した教材があるんです。

企業に勤めていると日常の仕事で、CSVファイルをダウンロードしてExcelで加工することはよくあると思います。

その際、セルに数字が正しく入るようにコンマを取ったり、ズレを直すなど1~2時間かけて加工します。

ところが、プログラミングすることで、その加工処理が5秒で完了します。これが感動したことです。

もしも自分が管理職だったらどうでしょう。今まで1~2時間かかっていた仕事を5秒でやってしまう人が入社してきたら、その人を高く評価しなければいけなくなります。でも、そうすると他のスタッフはやる気を失ってしまう。とはいえ、過小評価するとできる新人は退社してしまう。

もし人の何倍も仕事ができる人だったら例えば1.5倍の給料を出さないといけない。それができないのなら、良いキャリアになる良い仕事を与えなければなりません。すると他の人は仕事がもらえなくなります。

CSV Data (Before)
CSV Data Visualization (After)

それは一般社員でも同じです。むしろ一般社員の方が大変です。今までなら年功序列で責任ある仕事が振られていたのに、仕事のできる人に回って行きます。優秀な人には入って来て欲しくないと思うのではないでしょうか。生活がかかっていますから。それで戦慄したんです。

この教材がなければ私はこんなに感動はしなかったかもしれません。CSVファイルを加工している人はたくさんいると思います。そんな人にすれば「これは怖い時代になった」と思うのではないでしょうか。

──自分がやっている仕事に関係していたから感動したということですね。

そうです。これがなければピンとこなかったかもしれません。

オンラインだけど留学した気分になれる。

──価格はいかがでしたか?

コンテンツやサービスについては信頼を置いていたので心配はありませんでした。が、私自身の問題として、付いていけないことはあると思っていました。

よくある日本のスクールは30万円、40万円はします。それだけ払って挫折するのはつらいですが、Zuittのプログラムの金額なら万一、挫折しても「私にはプログラミングは向いていなかったと分かった授業料」として納得できると思っていました。でも、最後まで受講できて良かったです。

──期間はいかがでしたか?

期間は4か月でしたが、経験から言って4か月は、ゼロから始めて基礎を学べる。そして飽きずに集中できる期間です。経理の基礎である簿記2級を勉強したのも4か月でした。いろんな学校が4か月を設定しているのは、4か月は集中できる期間なんだと思います。

1年ではたぶん、続かないと思いますし、1か月ではたいしたものは得られないでしょう。

4か月だと初心者でもすごく伸びます。一生懸命やれば手応えのあるものが得られるはずだということを経験上知っていたので、4か月は努力しようと思いました。

──ライブ授業はいかがでしたか?

ライブ授業はとてもメリットです。全部の授業をライブで提供しているところは多くはありません。大抵はビデオです。ビデオは合理性があると思いますが、私は意志が弱いんです。しかも私はエンジニアになりたかったわけではなく、せっぱ詰まった状態ではありません。なのでビデオでは絶対に続かないと思いました。

時給が高いエンジニアを先生として雇い、時間とお金をかけてまでライブにこだわる。そんな熱意のあるライブなら私でも続くだろうと思いました。

──オンラインはいかがでしたか?

出かける必要がなく、時間も体力も節約できます。

リアルな教室だと私は背が高いわけではないので、前の方の席を取るため、早くに行く必要があります。でもオンラインでは関係ありません。

一度、頭痛が辛かったことがあったのですが、家だったので参加できました。限界だと思ったら退席してそのまま寝ることもできます。電車に乗らなきゃいけなかったら参加できなかったと思います。

オンラインだからこそ、背中を押されたというか、オンラインにはいろいろメリットがあります。

──他にはいかがでしたか?

授業は日本時間の夜7時から11時までの4時間です。途中に30分の休憩タイムがあるので実質的には3時間30分ですが、けっこうきついです。しかも月曜から木曜までみっちり。土曜日曜に追い付くのがやっとでした。

嬉しかったのは、私は留学をしたことはなかったので、留学気分になれたことです。

参加者は世界中から来ます。セネガル人、ブラジル滞在中のアメリカ人、フィリピンに住んでいるフランス人、そして私の4人。住んでいる国が違う人が同時に授業を受けることができるのも、オンラインならではですよね。

日本の夜7時はブラジルでは朝なんです。私が夜食を食べている時間に朝食を食べるなど、文化の違いも感じられてとても新鮮でした。

あと、参加者は皆、英語でしゃべるのですが、なまりがあるので聞き取りが難しかった人も一人いました。でも、今後、グローバルの時代になると、きれいな英語をしゃべる人だけを相手にするわけではなくなるので、慣れるという意味ではとても良かったと思います。

ただ、残念なのはフリートークの時間がなかったことです。卒業制作はペアになりますが、通常時に横の関係はありません。終わるとみんなサーッといなくなります。先ほどお伝えしたFacebookグループのような受講者のコミュニティーもありません。もう少しコミュニケーションが取れたら良かったと思います。

──(Zuitt加藤社長)本日のみならず受講中にも様々なご指摘を頂き、ありがとうございます。生徒たちを小さなグループにわけてやりとりを活発にしてもらうことはさっそく取り入れました。Facebookグループでの助け合いも年内をメドに取り組む予定です。

そうなんですね。学習もしやすくなり、ますます魅力的になると思います。

難しいのは最初だけ。世界に羽ばたける。

──プログラミングを活かせるシーンはありますか?

ハーバード大学がコンピュータサイエンスの授業を無料で公開していますが、同じように世界でIT関係の講座がたくさん公開されています。Zuittを乗り越えられたのだから、それにもチャレンジできると思っています。世界中の講座が聞けるんです。Zuittの授業で聞いたのは、本物のIT用語。それが分かるようになったので、そんな授業も受けることができる。そもそもプログラミングは英語なので、英語はとても関係性があります。

繰り返しになりますが、プログラミングの知識を身に付けることは若い人は避けられないことです。サラリーマン人生が10年を切っている人は逃げ切れるかもしれない。でも、20年、30年ある人は逃げられない。若い人は若い間に早く学んだ方が良いと思います。

難しいのはなんでも最初だけ。そこを乗り越えたら後はアップデートするだけですみます。

あと、Zuittには、キャリアアドバイザーがいて、就職の後押しもしてくれるそうです。海外の企業への就職など、かなり具体的なサポートをしてくれるそうなので、世界に羽ばたきたい人には良いと思います。

残念ながら今の日本は若い人があまり希望を持てる状態ではありません。世界を目指す人にとっても、Zuittのディベロッパー・キャリア・プログラムはとても良いプログラムだと思います。私が若ければエンジニアになって世界を目指したと思います(笑)。

──貴重なお話、ありがとうございました。