10年先を見据えたエンジニア育成。独自の文化をつくりたい。

(The English version is available.)

フィリピンでオフショア開発事業を推進するシードテック様。その人材採用と育成の支援をZuittは担当しています。

エンジニアになりたいフィリピン人を集め100倍以上の倍率で選考、必要なスキルレベルまで育成し、シードテック様に入社してもらうというスキームです。

人間性と意欲で厳選された人材が、育成期間中に「同期」意識を育みます。10年先を見据えた組織文化の構築にも役立つ、と高い評価をいただいています。

(インタビュー・大橋博之)

平井真哉

シードテックCTO / NexSeed CTO

大学在学中にフィリピン・セブ島にてネクシードを立ち上げる。大学中退後、日本で起業。フィリピンに戻ると100人の組織を作る。ギークスグループとしてマザーズ上場(現在東証一部)。ネクシード日本法人のシードテックCTOとしてオフショア開発事業を推進している。

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「事業共創ラボ」と「教育事業」の2つで成長。

──シードテック様は、どのような業務をされているのですか?

「ITサービスとIT人材を、種から育てる。」をコンセプトとし、「事業共創ラボ」と「教育事業」の2つを主軸にフィリピンでビジネスを展開しています。

事業共創ラボは、ITサービスを種から育てることが目的。クライアント様のアイデアや新規事業に対し、我々のアイデアや資金、人材等を供給することで、一緒にその種を育てていくのが狙いです。

教育事業は、IT人材を種から育てることが目的。プログラミング未経験の日本人の方に、フィリピン・セブ島での留学、もしくはオンラインでのプログラミングスクールを提供しています。次世代の世界を担う人たちにIT教育をおこなうことで、未来のIT人材を育てるのが狙いです。

──2つの事業があるんですね。

実は、シードテックは2021年4月に始動したばかりの会社です。それまではNexSeedとして、2013年からフィリピンのセブ島で留学事業を展開していました。その頃、事業共創ラボはまだありませんでした。

教育事業が伸びてきたところで、私自身、エンジニアだったので「開発チームを持ちたい」との想いが強くなりました。また、クライアントからも「開発はやっていないのか」との声をいただいていたこともあり、2020年から事業共創ラボをスタートさせました。

──ラボとスクールの比率はどれくらいなのでしょうか?

今、過去と比較して伸びているのは事業共創ラボです。教育事業は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響から事業自体の転換をはかり、軌道に乗り始めたところです。ただし、我々としては50:50が理想と捉えており、両方をメインにする考えです。

生まれた環境に関係なく、いろんな方にチャンスを提供。

──どのような課題があったのですか?

我々の強みは教育事業における日本人エンジニアの育成ノウハウ・環境と、オフショア開発の現場があることにより、教育事業には現場レベルのカリキュラムを、オフショア開発事業には自社で育成した日本人エンジニアを供給可能と、両事業が上手く接続しあっていることです。

しかし、フィリピン国内の人材については参入が後発ということもあり採用難度が高く、独自の強みを作りたいという課題感を持っていました。

そのため、フィリピンの求人媒体を使ってみたり、弊社の教育事業で人材を確保できないかと計画してみました。

また、フィリピンの大学のIT学部と連携して、学生に弊社のプログラムを提供し、その代わりに卒業生を新規メンバーとして採用できないかなど、さまざまな取り組みを続けていました。

そんな折り、弊社の代表がZuittの加藤社長と知り合いだったことから紹介され、お話をさせていただきました。そのとき、フィリピン人にプログラミングを教えるZuittさんの取り組みにとても共感しました。

──Zuittのどこに共感されたのですか?

弊社には組織拡大の先に、「教育で世界を変えたい」という想いがあります。

フィリピンは貧富の差が激しい国です。日本以上の豪邸が建っている横でストリートチルドレンが生活をしている。そのことがとても衝撃的でした。

日本人の感覚だと「仕事を見つけて働けばいいのに」と思うのですが、ストリートチルドレンの親もストリートチルドレン。さらにはその親もストリートチルドレン。代々がそのような環境で、教育体制も整っていないため、未来に向けて働こうとする意欲が湧いてこない状況になってしまっています。

また、プログラムに未来の可能性を感じても、IT周りのインフラもパソコンもない環境に生まれているため、諦めるしかありません。

生まれた国が理由で自分の未来に制限がかかるのは、とてももったいないと感じました。フィリピン人は英語が堪能です。インターネットが普及した時代では、仕事に取り組む上で国は関係なく、アウトプットが優れていれば国がどこであってもなんの問題もありません。

貧富の差や、生まれた環境に関係なく、いろんな方にチャンスを提供できないかと思っていました。

加藤社長はまさにその課題にチャレンジされている。そこに共感しました。

スキルも人間性もある人材を採用できた。

──Zuittとはどのようにコラボレーションしているのですか?

現在の事業共創ラボを、いち早く100名規模にしたいと考えています。そこで重要となるのが、採用であり人材育成です。その部分をZuittさんにご協力いただきました。

──コラボレーションすることにした決め手はなんだったのですか?

我々で、どのような技術領域をカバーするのが良いのかを検討したところ、JavaScriptを扱える人材が欲しいとなりました。Zuittさんに聞くとJavaScriptを教えるカリキュラムがあると回答をいただきました。

そこから具体的に加藤社長やZuittのフィリピン人スタッフとミーティングを進めていくと、細かいところにご提案やアドバイスをいただけたのがとても気持ち良く、「ここに任せておけば間違いない。しっかりやってくれるだろう」と感じました。

──プランを教えてください。

プログラミングを学びたいフィリピン人を募集し、最終的に優秀な人材3名を選び、Zuittさんの授業を受けてもらう。その費用は弊社が負担するため、受講生3名は無料で学習できる。卒業後は弊社に入社してもらう。そう計画しました。

──具体的なスキームを教えてください。

まず、Zuittさんに募集をかけていただきました。応募は約400件。定員から100倍以上の倍率になりました。

思った以上に応募が集まりました。フィリピン人にとって話題性があり、未来に可能性が広がるプロジェクトだったのだと思います。

Zuittさんと事前にどのような人材が欲しいか打ち合わせし、応募書類でスクリーニングしていただき、30名に絞り込みました。合格した人に合同説明会をおこない、さらに我々が書類選考をして15名を選び、最終面接をおこない3名を合格としました。

内訳は、20代の男性2人と30代の女性1人です。意欲もあり、若く、英語も堪能です。

その3人にはしっかりと授業を受けてもらう。そのため、出席率やテストの合格率の基準も設けました。

──プログラムの期間は?

教育期間は、JavaScriptのメインプログラムが2か月。サブのJavaコースを1か月強。その後、卒業認定が与えられて、弊社に入社してもらいました。

──期待通りだったでしょうか?

結論を言うと、とても良かったです。期待以上の人に入社してもらえました。

良かった点のひとつは人間性。面接を経て入社してもらったので、会社のカラーにも馴染んでくれていますし、人としてとても魅力的な人材でした。

もうひとつは意欲。入って来てすぐに実務にアサインするのは難しいので、どれくらいできるのかや、チームワークの適正を見るため、OJTの形で2週間かけてひとつのデモ案件に取り組んでもらいました。最終プレゼンをしてもらったのですが、思っていた以上のものを作ってきました。また、そのプレゼンも堂々としていて、社内でも高い評価結果になりました。

3名は同じ目的で教育を受けてきたので、連携もできていましたし、入社してから求められている役割も理解してくれていたので、とてもスムーズでした。また、同期という仕組みがよかったのか、入社後も社内では本当に仲良しです。

現在はサポートメンバーとして、メインのエンジニアと一緒にライトなタスクから取り組んでもらっています。

1期生から2期生、3期生と続け、文化にする。

──Zuittのどこが良かったでしょうか?

加藤社長がフィリピン人スタッフをまとめ、しっかり準備されている、その品質の高さを感じました。

また、契約してからの話になりますが、どのような授業を提供しているのかを見たかったので、1日、オブザーブさせてもらいました。すると、講師のファシリテーション能力や、授業の仕組み、オンラインでもインタラクティブに受講者の興味関心を引き出しながら授業を進めるところが、うまく構成されていて、質の高い授業を提供されていることを知ることができました。

宣伝や採用活動、教育を弊社で行うこともできますが、Zuittさんにお願いしました。単に任せたというよりも、我々も一緒になって採用活動をしているような感覚です。

価値があると思ったのは、エンジニアになるためのきっかけとして、通常は受講生が負担する受講料を弊社が負担し、ロイヤリティが高い状態で入社して稼働するというモデルを構築できたことです。

──日本人が運営していることに対してはどう思われましたか?

日本人だからみたいなものが逆になくて。加藤社長以外はフィリピン人スタッフが動くため、フィリピン人スタッフの対応がキーになると思っていました。ミーティングや授業を見て、品質の高さを感じたので、そこは気になりませんでした。

──御社でゼロから教育するのとの違いは?

弊社でアプリカントを募集して採用し、教育しても、その人材が最終的に会社の求めるスキルセットを満たし続けてくれるのか、そして会社のカルチャーにマッチするかはわかりません。Zuittさんと組んだ方がより多くのアプリカントを集められ、一定のスクリーニングもかけていただくことができますし、研修もフィリピン人相手に作り込まれているからこそ、安心してお任せできる。工数的にもコスト的にもメリットがあります。

通常の採用では、未経験者を2、3か月育成して、即戦力として現場に出れるかというとそうではありません。

だからこそ多くの生徒さんを受け入れてきたZuittさんに優秀な人材の選定をサポートしていただき、育成をお任せする。我々は事業を伸ばすことに注力しながら良い人材が入ってくるのを待つ。各社得意な事業に注力する、そんなモデルになったところが良いポイントだと考えています。

──御社ではスクールも運営されています。そことの違いは?

教育事業は対象が日本人のため、日本語で提供しています。フィリピン人向けのカリキュラムは、クライアントの要望に応じてひとつずつカスタマイズしており、社内採用・育成向けには作られていません。いちから作り上げ、チューニングをしながらアプリカントに合わせていくよりも、既に実績あるZuittさんのカリキュラムを利用させていただく方が良いと考えました。

──時間をかけてまで育てないといけないと思った理由は何だったのでしょうか?

日本でも優秀なエンジニアの採用は様々な企業が苦戦している現状を考えると、中途採用のみに頼った組織づくりでは組織拡大・強化に限界があると感じました。

そのため、独自の採用戦略のひとつとして、Zuittさんと組み優秀な未経験者を採用・育成するところから着手しようと考えました。

ポテンシャルの高い人材を集め育成し、経験を積ませながら2年、3年のスパンで現場の中核になってもらう。

そんなシステムを作るために時間とコストを投資し、将来、採用戦略として独自の強みになると考えています。

──今後の採用計画はどうなのでしょう?

数ヶ月ごとに3名ずつの採用を考えています。今回、入社した人には「あなたたちは1期生だ。いずれ後輩が入ってくる。先輩になる前に会社の文化をキャッチし、現場で活躍できる人になって欲しい。後輩が入ってきたときはメンターとして指導して欲しい」とメッセージを出しています。これを弊社の文化として1期生から2期生、3期制と続けていきたいと考えています。

──育成しても他社に移ってしまうこともあるのではないでしょうか?

その懸念はもちろんあります。また、そうなるのも仕方ないと思っています。

フィリピンには、日本よりもより強く転職してバリューを上げていくという労働文化があります。

たとえ他社へ行っても、そこで活躍してくれたら弊社のブランドはより強くなりますし、どこでも活躍できる”強い人材”に対してチャレンジングな機会を与え続けることができるよう、組織としても成長し続けられるかを問われているとも思います。

オフショア開発先としてのフィリピンを浸透させたい。

──オフショア開発の未来はいかがでしょうか?

まだまだITの需要は伸びていきます。日本の受託開発市場は約1,000億円、そのうちオフショア開発が占める割合は約1%。ITで先をいくアメリカはこの比率が約12%を占めており、日本も今後アメリカを追う形でこの比率は上がっていくと試算しています。

また、コロナの影響もあってリモートワークが浸透し始めたことも我々にとっては追い風と感じています。

──日本が相手ですか?それともグローバル? 

フィリピン人が英語を使えるので、全世界に対応したいと考えています。

──最後に今後の展開を教えてください。

社内チームを100人以上の組織に早くすること。100人以上の組織になると、フィリピン・セブ島で見ると、大規模な開発組織として社名を出していくことでイニシアチブが取れます。そこまで持って行きたい。

日本でオフショア開発の国といえば、ベトナムかインド、中国。「フィリピンでやっている」と言うと、「できるんですか」と驚かれます。我々は日本とフィリピン、世界とフィリピンの懸け橋になりたいので、オフショア開発先としてのフィリピンを日本や海外に浸透させたいと思っています。これが第一の目標です。

そのためには、今後もZuittさんには良い人材のサポートをお願いしたいと考えています。

──貴重なお話、ありがとうございました。

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